ラフ書き原稿で書体選び はじめに
印鑑選びって印材ばかりが注文されがちですけど、実は一番大切なのは書体選びだと私は考えています。 基本的にどの素材でもある程度、丈夫な材質なので印鑑に使用されています。 本柘が一番リーズナブルなので脆いと思われる方が多いのですが、大事に使用すれば長年の使用に耐えられます。 もちろん物理的な衝撃(落とす、ぶつける)が加わると枠が欠けたりします。 扱いには注意が必要ですが、必要以上に耐久性を意識しなくても良いと思います。大事なのはどんな文字か
材料よりも印面にどんな文字がデザインされるのか? 大事なのはそこです! せっかく奮発したのに、文字がイマイチだととても残念な気持ちになります。 今回は、実店舗限定で導入している書体選びの方法について説明させていただきます。ざっくりですが、イメージをお見せすることができます。
実際に自分の名前だと、篆書・八方篆書のどちらが向いているのか?せっかく作るのだから知りたいですよね。 そんなお客様のためにデザインソフトで簡易的に作成して確認いただくことができます。 ↑あくまで簡易的なものですので、実際のアレンジとは多少異なります。それでも風合い・イメージは掴んでいただけると思いますので、書体選びのお役には立てると思います。 ※詳しいものが外出していると適切なアドバイスができないこともあるかと思いますので、事前に来店時間などをお知らせください。文字には制約があります
文字には基本的な形があります。 この横棒をもう少し長く、このスペースを埋めるために、この線を曲げて欲しいなどのご要望を言われることがあります。 観賞用なら良いのですが、印鑑の機能を欠いてしまう恐れがありますので、対応できません。 デザイン校正ではなく、イメージを持っていただき、安心していただくことが目的です。 上記のことあらかじめご了承ください。 ※基本的にご注文時に納期が決まってしまいますので、書体についてのご質問・ご要望は必ず注文前にご相談ください。 ※藤原流篆書・法人印各種はデザインソフトの機能上の問題から簡易イメージはご確認いただけません。実際の仕上がり品と簡易的なイメージ確認と誤差について
実物を比較してどの程度参考にするべきか、失敗しない書体選びの判断材料にしてもらえればと思います。←簡易的に作成した篆書「徳川家康」
←仕上がり品の篆書「徳川家康」
←簡易的に作成した八方篆書(印相体)「徳川家康」
←仕上がり品の八方篆書(印相体)「徳川家康」異なると言えば異なりますが、イメージを掴むことに関してはお役に立てると思いませんか? 簡易イメージはどうしても既成フォントを使用していますので、文字に選択肢がありません。 実際には辞書で文字を調べて使用可能な印篆・小篆を組み合わせて、バランスを見ながら文字を手書きしていきます。 その辺りで違いがどうしても出てくることは、ご了承ください。 あくまでイメージを掴んでいただくことが目的です。 仕上がり品はさらに良いデザインにしていきますので、そこの塩梅は職人にお任せください。 wikipedia 篆書体
書体についてのご説明
藤原流篆書
藤原流篆書は、印篆を小篆調・小篆風に独特の雰囲気の文字を使用します。 時には金文・古文等の字を用いたりして文字の芸術性をより表現します。 また篆刻を意識し、文字の形態に遊び心を入れたオリジナルの書体です。 『字法・章法・刻法』の三法の法則に基づき、刀の味『サビ』を加え彫刻致しております。 試行錯誤を重ね生み出した職人魂の結晶とも言える書体です。 他の印章店では真似が出来ないものですので、偽造される可能性はほぼありません。 少々価格は上がりますが、デザイン性・セキュリティー面からもおすすめの逸品です。八方篆書(印相体)
印相体は、篆書体から進化させた書体で八方篆書体とも呼ばれています。 字が八方に広がっているようなカタチから 「八方広がり=開運印相」としてもよく用いられております。 諸説ありますが歴史的にはまだ浅く、戦後に普及された書体です。 縁起が良いかどうか、運が向いてくるかどうかについては、根拠がありません。 当店では姓名判断などは行いませんし、鑑定書も発行しておりません。 画数の多い、少ない文字が混在している方。平仮名・片仮名の文字をお持ちの方。 他にも読みづらくしたい方などのご要望に応えるのに適した書体です。 優れたデザインの選択肢の一つとして、この書体を扱っております。
読みづらい印影になりますので、セキュリティ的に優れています。 字画が少ない文字と多い文字が混在している方にはおすすめです。 理由は空間を埋めるアレンジをしやすいことが挙げられます。 読みやすい書体がお好きな方にはおすすめできません。篆書体
元来中国から伝わってきた印章。 四千年近い歴史を持つ漢字ですが、 「甲骨文字(こうこつもじ)」から 「金文(きんぶん)」 次に「大篆(だいてん)」と派生しました。 「大篆」ではまだ字画が複雑で書くのには不便であったため、 秦の始皇帝の命により「小篆(しょうてん)」が作成されました。 その「小篆」が、印章では一般的に「篆書体」として用いられている書体です。 日本銀行発行のお札に押されている印鑑もこの書体です。 スッキリした印影がお好きな方にはおすすめです。 女性的な柔らかさを出したいなら、こちらの書体の方が適しています。 字画の多い文字と少ない文字が混在している方に注意が必要です。 理由はバランスが取りづらく、イメージと異なる可能性があるためです。 字割(レイアウト)に関して「タテ」を希望される場合は、横長に潰れた印象になってしまいます。古印体
日本の古来から印章に使われている書体で「隷書(れいしょ)」から変化した書体です。
「読みやすい印 影のはんこを」という方にオススメしております。 出来合い印に最も使用されている書体です。 オーダーメイドでつくる、 重要な「実印」などにはあまりオススメしておりません。
読みやすい印影になりますので、認印などには最適です。